1号の葛藤

幼稚園の園庭でびっちりと遊ぶと、家に帰ると4時過ぎることもある。
「お腹すいた〜」
と言われても、下手すると眠くて眠くて6時頃寝てしまうこともある。
それなら、と遅くとも5時半には夕食にしたい。
「ご飯早めにするから待ってね」
ということになる。
…実際には5時半に用意が出来ていても、肝心のおもちゃが片付かなかったり、子ども達がテレビに夢中だったりして6時過ぎまでずれ込む方がずっと多いのだが。

4時前に帰ったときだけおやつにしたい。だって「3じのおやつ」っていうでしょう。
なんて言っていたので、1号もそろそろその辺のからくりに気づきつつある。

1号が朝出かけるときに言う。
「あのね。
 今日はお帰りのあと、幼稚園のお庭で遊ばないの。
 お友達のうちに行ったり、おうちに呼んだりしないの。
 今日はおうちに早く帰って、おやつ食べるの」
ふぅん。このお友だち好きがねぇ。うんうん。別にいいですよ。と言う。
普段からいつでも遊びに来てー。と言っているお友達にも、今日遊んで、とは声をかけないでおく。

でもお帰りの時に迎えに行くと、1号はモジモジッとして
「あのね。すぐに帰るけど、その前にちょっとだけ遊ぶの」
と言って園リュックを私の手に押し付けて走っていく。
ああ。やっぱり今日もね。そうだろうそうだろう。
と、ちょっとだけ戻ってきて
「あのね。今、長い針6だから、8まで遊んだら帰るの」
ほっほぉ。今日こそは早く帰る固い決意かい。3時前に帰れるかな。ふっふっふ。

2号のあとを適当に追いかけながら見ている。1号は雪の周りを駆け回り、お友達と雪投げをして…。しばらくして帰ってきた。
「あのね。もう長い針9だけど、もう少し遊ぶ」
はいはぃ。いいですよ。
「長い針、10と11の間になったら帰るからね」
はいはぃ。3時前には幼稚園を出るのね。

砂場付近でうろうろし、水溜りの周りでなにやら遊んでいる。
2号はいつもの通り飛行機の形のジャングルジムによじ登る。
またしばらくして
「おかーさん、かばんの中の手袋ちょうだい」
…どうでもいいけど、その手袋フリースだから、手袋かけて水溜りに手を突っ込んでも冷たいだけだよ。
一応真っ赤になった手をタオルで拭いてやってから手袋をかける。
観察。あ〜あ。やっぱり手袋で水溜りで遊んでいる。まぁいいや。去年はフリースの手袋で、園庭を雑巾がけされたからな。

2号がブランコで遊び始めると、1号もブランコで背中を押してもらいたがる。
げほげほげほ。ここ数日、咳が出るなぁ。
しばらくブランコを押していたが咳が止まらなくなったので
「はい、今日の母さんの体力は売り切れ」
とおしまい宣言。2号は怒っていたけど、1号はもうヒト遊びした後で…
「帰る」

やっと帰る気になりましたか。家について3時50分。
いつもと変わらん展開だったなぁ。

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だいくとおにろく

だいくとおにろく

松居直再話・赤羽末吉画

出版社 福音館書店
発売日 1978
価格  ¥ 780(¥ 743)
ISBN  4834000850
★★★★☆
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こどものとも傑作集。赤羽末吉の味わいのある絵が美しい。読むたびに赤羽末吉の絵本がいいなぁと思うようになる。

「幼稚園で、読んでもらったことがある」
と、1号。そうかそうか。じゃあ、と時々先のストーリーを聞くようにしてみるが、余り自信はないらしく答えようとしない。
流れの早い川。水の勢いが強い。流されていく橋の柱のイラスト。
1号も2号も「みず、はやーい」
先日のタイの津波は…さすがに思い出さない?
鬼が出てくるシーンはちょっと読み応えがあるかも。ぶっくり、と水の中から出てくる鬼。
橋が半分だけかかっている白黒のシーン。ページをめくるといきなり天然色な真っ赤な橋。この対比が、出来上がった橋の美しさを際立たせているかもしれない。鷹なんか飛んじゃってさ。傍らに困った顔の大工。

よく見ていると、モノクロのページとカラーのページが交互に出てきているのね。物語の展開とうまくかみ合っていて、見せ場になるシーンではカラーになる、という感じ。うん。いいなぁ。

こういう昔ながらの物語の本は沢山読んで沢山溜めていってほしいな。1号。

? posted by Yumikoit at 10:54 pm pingTrackBack [0]

 

デカレンジャーとおままごと

幼稚園から帰る1号に
「今日は一番何が楽しかった?」
と訊く習慣がある。

この「一番」がポイントで
「今日は何をして遊んだの?」
では
「いろいろ」
でおしまいなのである。「一番」と問いかけることで自分の中で何を語るか整理ができるらしい。

入園してから毎日訊き続けているおかげで、最近は自分から
「今日は一番面白かったのはね…」
と話してくれることも多くなってきた。

問題はそれが、設定保育でやったことではなく殆どが自由遊びの中でのことで、しかも殆ど毎日
「今日はクルマ」
「今日は電車」
「今日はデカレンジャーごっこ」
の順繰り繰り合わせにしかなってないってことなんだけどね。

で、今日はといえば。
「今日はね、一番楽しかったのはね。おままごと」
ほぉ。今日はおままごとしたんですか。
「ふぅん。おままごとしたんだ。楽しかった?」
「うん!」
「誰としたの?」
 これも毎日訊いていると今誰と遊ぶのが楽しいのか判ってくるので重要なポイント。
「えーとね。今日はSちゃんとKみちゃん!」
ほぉほぉ。今日は女の子と遊びましたか〜。
でも今までSちゃんというとおままごとというよりもお店屋さんごっこのほうが多かった気が。
「お店屋さんごっこじゃなくて、おままごとだったの?」
「うん。おままごとだったんだよ」
「ふぅん。じゃあおうちの中ごっこかな。1号は、お父さんの役でも下の?」
「ううん!ボクはね。デカレッド!」
…はぃ?それはデカレンジャーごっこでは?
「ちがうよー。おままごとでデカレッドしたんだよ!」
それはどういう遊び…?

色々訊いているうちに1号自身にも訳がわからなくなってきたらしい。
最後には
「ボクもよくわからなくなっちゃった」

…そりゃ、そうでしょう。

? posted by Yumikoit at 06:46 pm pingTrackBack [0]

 

ハトシェプスト

山岸凉子著

出版社 文芸春秋
発売日 1998.06
価格  ¥ 650(¥ 619)
ISBN  4168110486
★★★★☆
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ハトシェプスト―古代エジプト王朝唯一人の女ファラオ。らしい。
私は実は歴史には疎いので、そもそもファラオに女性がいたのかどうかすら知らなかった。
「古代エジプト王朝唯一人の女ファラオ」なんてサブタイトルがついているといわゆる伝記的な切り口のストーリィを想像してしまうけれども。違うんだなぁ。

血を止める奇跡を起こせる姉妹が不思議な貴族の男性に会う。
普段は葬式の時などになく、泣き女が仕事。
血を止めるその能力に目を留められて、応急に連れてこられて、貴族の男性と思ったのは実はファラオの第一王女ハトシェプストであると知る…。

ハトシェプストの内面や王位を望むことになった経緯や王位を得た後の政治などはあまり描かれていない。ただ、ハトシェプストが王位を得るちょっとした事件を、姉妹の姉の方の視点からすっと切り取るように描かれているだけ。

2編からなるハトシェプストのストーリィのもう一編は、ハトシェプストの幼い頃。男性になりたい、男性のようになりたいと願った一人の少女。

台詞とか構成がとても巧みで、最後の一コマが波紋のように印象を深める。

? posted by Yumikoit at 11:35 am pingTrackBack [0]

でんしゃにのった

西村慶明さく

出版社 福音館書店
発売日 1984.10
価格  ¥ 683(¥ 650)
ISBN  4834000389
★★☆☆☆
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12月の2号は毎日「ぴかくんめをまわす」ばかり。よっぽど気に入ったらしい。
ここ数日は、1号が図書館や幼稚園で借りてきた絵本の中の、乗り物絵本を中心に狙う。目新しいのが欲しくなったかな。
今日は1号が「とらっくとらっくとらっく」なので、2号は「でんしゃにのろう」

表紙の黄色の新快速電車。何線かな?後ろに東海道線が走ってるよ。
と関東圏の電車の色を思い出そうとするがいまいちぴんと来ない。
「関西の電車じゃねーの?」
飼猫氏が言う。そうかなー。

殆ど文章のないストーリィ。ただ、黄色の新快速電車と、その電車がすれ違う色々な列車が次々と描かれる。リアルな絵柄は西村慶明独特で車体の色もきれいだ。
車内の光景では大阪スポーツの新聞を広げるおじさん。あ。やっぱり関西圏だ。窓の外には京阪電鉄。
セメント専用タンク車や色々な貨車。
全ての車両の絵の横に、車両の名前が描かれているので電車の名前なんかわからない親にも親切。
子どもって、こちらが思いもしなかったはしっこの電車の名前とか知りたがる時があるし。

1号も横でじっと聞いていて、二人とも大満足のようでした。

? posted by Yumikoit at 10:28 pm pingTrackBack [0]

 

つむじぃ!

かねてより飼猫氏が、「1号と2号はつむじが逆♪」と言っていた言葉を思い出しながら、歯磨きしている二人の頭を、ふと眺める。

1号は確かに時計回りだけど。
…違うじゃん。2号は、逆方向のつむじが2つ、並んでいるよ。

? posted by Yumikoit at 08:19 pm commentComment [4] pingTrackBack [0]

 

だから道路では止めろって

昨日に引き続き雪の話題。
車道は大体溶けたけど、歩道はシャーベット上の雪。でも幼稚園はあるのだ。たかが雪。されど雪。
1号と2号を連れて歩いて家をでる。
ところどころに雪かきした雪が山に積んであったり、まだ殆ど雪が溶けてないところも勿論ある。

私が小さい時には、雪が溶けていない新雪っぽいところに足跡つけて喜んでいたもんだけどね。

…1号はいきなり腹ばいになって泳ぐ。
だ〜か〜ら〜ぁっ。それを道路でするのは止めろ〜。


お帰りのあと。園庭で遊ぶ。
…だから止めろーっ。園庭はなぁっ。水溜りの上に雪が積もってるから半分以上シャーベット状だっ。そこで泳ぐのは止めろって〜!

? posted by Yumikoit at 07:13 pm commentComment [4] pingTrackBack [0]

みずべのいきもの

体験を広げるこどものずかん 10 改訂新版

出版社 ひかりのくに
発売日 1997.06
価格  ¥ 1,050(¥ 1,000)
ISBN  4564200801
★★★★☆
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1号が「見てみてーこの本ー。この絵本、おうちの本〜???」
とこの絵本を取り出した。
…そうだよ。ずっと前に買ったんだけど、あんたが乗り物ばっかりでぜんぜん関心を示さなかったんじゃないか。
「この本ねぇ。図書館にもあったんだよー」
そうか。そういや昨日図書館行ったもんな。飼猫氏に読んでもらったんだ。

というわけで今晩はこの絵本を読むらしい。例によって?私は2号のご指名。1号のご指名は飼猫氏だったのでこの本は飼猫氏が読む。
普段余り水辺になんて連れてかないもんねぇ。私の小さい時には近所の小川にもザリガニとか沢山棲んでたけど。
そういや学生時代、遊びに来た友だちが我が家の前の側溝を覗き込んで
「うおー。ザリガニがいるぞっ」
と感動してたっけ。

亀を幼稚園で飼っているので、幼稚園の亀の名前で、亀全般を呼ぶらしい。
ザリガニは「エビみたい」
めだか。さわがに。カエル…。

どうぶつカードで片方のカードを手に持って「このどうぶつは、しましまで、くさをたべます、なんでしょー」なんて、友達がやっていたマネをして自分で問題を考えたりするようになってきたので、いわゆるこんな「ステレオタイプでいいけど動物の生態の情報」も色々と知る本などにも興味を持ついい時期だと思っている。
さて、次はどんな絵本を探すのかな。わくわく。

? posted by Yumikoit at 10:23 pm pingTrackBack [0]

 

ナ・バ・テア

ナ・バ・テア

森博嗣著

出版社 中央公論新社
発売日 2004.10
価格  ¥ 1,050(¥ 1,000)
ISBN  412500871X
★★★☆☆
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うっかりしていた。何ページか読み進めてから、「スカイ・クロラ」の主人公ではなくその上司であったクサナギ・スイトが語り手の主人公だと知る。…語り口調が一緒じゃん(笑)
つーことは、「スカイ・クロラ」の何年か前の話、という位置づけになる。

著者の語り方、専門分野に対する一般読者への解説のなさを不親切だとか、戦争の中でも淡々と日常生活を送る本書の登場人物たちへの苦言めいた感想を持つ人は多いようだが、私はそうは思わない。
そういう感じ方をすることはよくない、と画一的に押し付けたところでなんであろう。例えば戦争。戦争はよくない、と一方的に押し付ける概念こそ、病的ではないのか。
淡々と、ボクはこうなんだ。周りと一線を画しているかもしれないけれども、僕はこれで自然なんだ。と断言する。
かといって、攻撃的に革新的に動いているわけではない。社会の中に身をおいて、淡々と自分の行き方を貫く。それで良いのではないだろうか。

著者、もしくは著者の描く世界の「一般概念」を読者に対して切々と事細かに解説することは可能かもしれないが、それでは森世界の良さは半減してしまうと思う。
第一、「僕はここまで理解していますが、あなた方読者達はここまでは理解できないでしょう。だから解説してあげますね」ってのは読者に対して失礼ではないか。

一つ一つの道具立てについて説明しなければ、その世界の全てがわかるものではない。私たちだって日常会話の全てをわかっているわけではなく、相手の言った事がすべてわからなくても雰囲気で大体の意味を感じ取って「うん、そうだね」と話を進めることはできるし、その中での大筋から的確なアドバイスをすることだって出来る。大体において言葉は不確定で物事の全てを語れるほど便利な道具ではないのだ。
それを同人誌的だとかなんとかいうことは簡単であるが一方的な評価とも思う。実際に、彼にこれだけの読者がついているのだから。

キルドレ。これもまた詳細には語られていない道具立てであるがそれでも永遠の子ども、人工的に作られたある人型人工生物であるらしい。
主人公たちキルドレが、オトナになりたくない。ずっと飛行機に乗っていたい。管理職なんかになりたくないと感じたりしている。
どこかで見たような、と思いつつ。それでも彼らはキルドレであることで現代社会にはない「子どもでい続けることの正当な理由」を有している。
そこには、戦争でヒトを殺すための理由なんか要らない、ただ飛行機に乗る理由として選択したに過ぎない彼らの生き様がある。
それでいいんじゃないのかなぁ。

? posted by Yumikoit at 09:18 pm pingTrackBack [0]

 

クロ號 8

クロ號

杉 作

出版社 講談社
発売日 2004.10.22
価格  ¥ 560(¥ 533)
ISBN  4063375560
★★★★☆
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最初からカラー4ページで泣かせる。うなされるチン子を起こそうとしてひげに怒られるクロ。夢に現れる母猫。

基本的にはヒトに媚びるでもなく適当にヒト社会を利用しながら、淡々と猫社会を形成する猫達。その中でもクロは勢力の強いオスというわけでもなく、実力があるというほどでもなく。でも適当に仁義というものを感じたり、元ボスだった老ボスに見込まれたり。仲間と一緒に行方不明になったメス猫(しかも他のオスの子猫をはらんでいる)を探しに出かけたり。人情味あふれるよね。

クリゲの子を運びながらふと父性を感じてしまうクロ。
ズキンの願いを知りつつ、自分の実力を信じられなくて、他のオスの力を頼ってズキンを守ってしまう。はかない恋だなぁ。

うんうん。と読みながらやっぱりクロが可愛く思えてしまうのである。

? posted by Yumikoit at 02:07 pm pingTrackBack [0]

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