花田 深著
創美社 (2004.10)
ISBN : 4420310081
価格 : ¥1,680
そういやあまり、日本の多重人格物は読んだことがなかった。
多重人格の起こりうるような極端な虐待やカルト下のような極度のストレス、それらに気づかないような隣近所づきあいのないような閉鎖された社会。そういったものが日本とは無関係であると思いたかったのかもしれない。
でも、日本でも起こってるんだよね。確実に。
これは
・妻の多重人格に気づいた夫が劇映画や記録映画といった業界に働いていたことから、こういった形での体験記の発表が比較的容易であったこと
・多重人格に気づくのが40歳と比較的遅かったこと
・妻が会社を興しており、多くの金額を扱いうる立場であったこと
・夫の気づかぬうちに妻が何度も借金を繰り返しており、多重債務者であったこと
という意味で多重人格という扱いにくい問題以外にもこういった書籍で読むことが出来るに足るいくつかの要因がある。
多重債務。しかも多重人格によって何度も借金を重ねるために、自己破産すら容易なことではない。
妻が大金を持っていたり大金を動かしうる立場であったため、気づくのが遅れたともいえる。
そして、著者でもある夫が今まで多重人格に関する書籍などを多く読んでいた。妻の多重人格をなかなか信じられなくても、予備知識があるとないのとでははるかに違う。多分、これは最もよかったこと。
こういったノンフィクションを発表する上で、彼女自身と家族に降りかかる偏見や差別といったものにこれから立ち向かうことは容易ではないだろうが。でも家族の絆があれば。夫の理解があるのだから。
そして帰るところは、家族以外にない、彼らだから、きっと乗り越えていけるだろう。
この記事に対するコメント[2件]
1. まざあぐうす — September 10, 2005 @06:19:55
Yumikoitさんは、どんなきっかけでこの本を読まれたのでしょうか。興味があります。
Yumikoit September 10, 2005 @21:14:57
テレビでも国内の多重人格を扱ったものなども見た事があるんですが、この方の事例ではなかったですね。
まだまだ人の心と身体には未知の部分が多いんだ、と思います。
この記事に対するコメントは締め切られています