ジョン・コラピント著 / 村井/智之訳
扶桑社 (2005.5)
ISBN : 4594049583
価格 : ¥1,680
1965年にカナダで生まれたある双子の物語 。
医師の薦めにしたがって、包茎手術を受けた双子の片方、ブルース。
彼は手術の際のトラブルにより、性器に重大な障害をおってしまう。
生後2年間のうちに「こちらの性で育てる」と環境を整えてやれば、男子でも女子として、女子でも男子として育つという 性心理学者ジョン・マネーの薦めにしたがって、双子の両親はこの子をブレンダと呼び、女の子として育てることにする…。
ジョン・マネーが自説の正当さを証明するのに繰り返し学会その他で引き合いに出されてきたこの双子の症例は、実はその後の追跡調査によって、その仮説を覆されることになった。
本書はこの双子の波乱に満ちた人生と、「自分は男性(女性)である」であるという性認識が幼少の頃ではなく、生まれる前から決まっていた可能性を示す一つの事例でもある。
ブレンダが大きくなって真実を知ったときに、迷わずに再度男性として生き直すことを選ぶくだりは感動に値すると思う。
自分自身の子ではないにせよ、わが子と呼べる子どもと理解してくれる伴侶を得て幸せになれるのだろう。
しかしこの書評を書く段にあたり、検索したところこんなサイトを見つけた。
>>「ブレンダと呼ばれた少年の死 」
>>「医者の確信という恐怖 ブレンダと呼ばれた少年 」
運命に翻弄され、「ありきたりな人生」を与えられなかった双子。
「そしてめでたしめでたし、では終わらない」といった言葉が、トリィ・ヘイデンの書く「タイガーと呼ばれた子 」にも出てくるが。
あまりに痛々しい。
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