ローズマリ・サトクリフ著・山本史郎訳
出版社 原書房
発売日 2003.06
価格 ¥ 1,890(¥ 1,800)
ISBN 4562036435
原書房では、サトクリフは「ローズマリ・サトクリフ」とファーストネームを伸ばさない表記なのですね。とまずは変なところに気付いたり。
え〜と、これは3篇の独立したストーリーからなっています。
ヒースの冠。あとがきによれば恐らく舞台は1,2世紀のブリテン島付近。一族の族長の娘と、まもなく部族神「黒い母」に生贄にされそうになっている捕虜の少年のはなし。ほんのりと微笑ましい二人の精神的な結びつきが御伽噺のようだ。
樫の葉の冠。
3,4世紀ごろのピクト人と戦うローマ軍。戦いで勇ましい業績を上げたローマ人に贈られるのが樫の葉の冠。
つい言葉の勢いで樫の葉の冠の持ち主だと大見得を切ってしまった元看護兵。しかしその嘘がばれた直後に彼の元に届けられる樫の葉の冠。「…本当はあなたが持っているべきものです…」
野生のオリーブの栄冠。
紀元前ギリシアのオリンピック。
オリーブの栄冠はオリンピックの勝者に贈られるもの。会場で知り合った友人にしてライバルの怪我を前に、彼は一心に祈る。
「私の最高の走りができますよう。それ以外のことは心に浮かびませんよう」
手を抜くことは、友人に対しても侮辱になるのだ。
個人的には二つ目の話が一番好き。
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