松本侑子著
出版社 集英社
発売日 2001.01
価格 ¥ 1,995(¥ 1,900)
ISBN 4087745112
第2章でマシュー・カスバートが駅に「男の子を」迎えに行く。
小鳥たちは歌っていた。あたかも今日が
一年でただ一日の夏の日であるかのように
この原典は、本書によると「サー・ローンウェルの夢想」という詩の一節であるらしい。更に、その詩は円卓の騎士の一人サー・ローンウェルが聖杯を探しに行く前夜の夢で、この詩の一節のあと一人の乞食に会う。寒い冬の日で、乞食のために凍った氷を砕いて水を与えると赤いワインに変わり、パンを分けてやると、まばゆい光が射してキリストが現れる。
アンを迎えに行くマシューは聖杯を探しに行く騎士というレトリック。そして困っている人に対して優しさと自愛で物を分け与える態度こそが聖杯という解釈の元でのこの引用。
本書はこういった「赤毛のアン」にでてくるさまざまな引用を探した経緯やその体験談、実際の本文との対比における解釈などが書かれている。著者の訳した引用元などをたくさん注釈として入れられた「赤毛のアン」だけではなくその背後にあった苦労談なども書かれている点でとても面白かった。
アンの中に出てくるたくさんの戦争の歴史や英米文学、聖書など。
アン読者にはお勧めの1冊だ。
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