★★★☆☆
エクトール・マロ作・二宮フサ訳出版社 偕成社
発売日 2002.02
価格 ¥ 735(¥ 700)
ISBN 4036524402
発売日 2002.02
価格 ¥ 735(¥ 700)
ISBN 403652450X 先日曜日、本屋で懐かしくて衝動買いしてしまった。
この本とのもともとの出会いは、小学1年生の頃だかにさかのぼる。当時は「家なき少女」というタイトルであったから、本書のあとがきから推察するに須藤鐘一訳のものであったのかもしれない。
翌年か翌々年にやっぱり出会った訳が、「家なき娘」恐らくは津田穣氏の訳のものであっただろう。
いずれも親が古本屋で十把ひとからげに子供向けに用意した本の中にあったものだったようだがいずれも既に手元にない。
こちらは、前訳に比べて 原文にもっと忠実に、そしてもう少し年長向けに訳されてあったと思う。
私が気に入っていたのはこちらの訳で、何度も読み返した。
その後、アニメ化されて「ペリーヌ物語」として放映された。こちらは見た人も多いであろう。
今回購入して読んだ本書は、「完訳版」とタイトルに並べて書いてある。
面白いのは先2作の訳とは違って、冒頭からまったく「ペリーヌがパンダヴォアーヌの孫」という部分はまったく触れられていず、ペリーヌは「フランス北部の街にいる親戚の家に行こうとしている」だけである。更に興味深いのは、ペリーヌがパンダヴォアーヌの孫とわかった後のシーンでもなぜか?ペリーヌが自分の本当の名前がペリーヌだと告白する、あるいはそのことを調査報告したファブリによって訂正されるシーンがまったくないままなのである。なぜだっ?
全体としてはそれぞれの版の訳やアニメ版などと比べてキャラクターの性格の違いや描写などが少しずつ違っていて面白かった。
ファブリとの関係はこの版が一番クールで、その分無理はない。タルエルや二人の甥たちはより攻撃的で、特にタルエルはエドモンが帰りにくくなるような工作すらしていたと示唆するくだりすらある。
ペリーヌの父エドモンにしても完全無欠の人物とはいえなさそうで、若い時に浪費と散財の末にパンダヴォアーヌを怒らせてインドに行かされた経緯などがあって「へぇ」とか思ってしまった。
まぁ、でも今までの読んだ訳の中ではやはり一番慣れ親しんだ2番目のものが一番よかったと言う印象があるのはなぜだろうか…
この訳のものも、本書あとがきによると4年ほど前に復刻しているらしいので機会があればもう一度読んで記憶を確かめたい。
この記事に対するコメント[2件]
1. koichi — May 13, 2005 @18:23:07
僕もこの本は小学校の図書館で、200回以上読んだ記憶があります。
僕の場合は、鴨狩小屋で彼女が友人のためにディナーを作るシーンが圧倒的でした。(小公女でも、子供たちがこっそりクッキーを食べるシーンがありましたが、やはり同じ様に印象的でした。
この本を知っているというだけでも、すごいことです!ちなみに僕は昔の名画「心の旅路」のファンでもあります。
Yumikoit May 19, 2005 @22:53:24
ペリーヌ物語。というよりもこれはやっぱり「家なき娘」なんだなと読むたび思います。
私が小学生のころ持っていた本は、誰かの読んでいた本のお下がりを貰ってきたものだと思うんですが、クラシカルな幾何学模様の表紙で黒い背表紙に金文字か何かでタイトルが書かれていたように思います。
今読み返すと、バンの卵でゆで卵…というよりも灰の中で蒸し焼きで作る半熟卵を作るシーンがとても印象的です。
ディナーのシーン、圧巻ですよね。私も大好きなシーンのひとつです。
お返事遅くなりましたが、これからもよろしくお願いします。
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