さすがにこれはないだろうと捨てようとすると、2号に嘆かれた。
「それはとってもお気に入りのズボンだから、直して」
そ、そんなことを言われても。
大体、ハーフのズボン、ほかにも何枚か持ってるだろう。
「だってこれが好きなんだもん」
えーん。
仕方ないので裁縫箱を出して破れ目に沿って繕っていく。
幸いに膝わきのポケットに沿って破れているので、気をつけて縫えば多少目立たない。
ポケットの上をふさぐ蓋、フラップ部分も縫い付けてしまって、ポケット部分の布も破れ目の強度を上げるのに使ってしまおう。縫い目隠しにもなるしね。
うーん。でも、ポケットの下角から膝までの破れ目はやっぱり縫い目が目立つと思う。膝付近だからまたここから破れそうだし。
ちょっと悩んでから、ワッペンの古いのを出してきて縫いつける。
2号が覗きに来て、満足そうに
「いいねぇ」
というので、一言言ってやった。
あのねぇ。あなたは何にためらいもなく私に繕いを要求するけど、でもって、あなたはどう思ってるか知らないけど、私はこれでも小中高と家庭科はずっと苦手で、裁縫は嫌いだったのよね。知ってた?
「えええっ。そうなの?好きなんだと思ってた」
本当に好きだったら、あなたの着るものとか縫ったりすると思わないかい?
まぁいいか。喜んでもらえたし。とほほ。
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