冷蔵庫は幼稚園のうちは自分で開けちゃだめ。
1号が最初に開けたのはどうも年中か年長だったような気もするのだが、2号のほうが粗忽もので後始末をしない性格なのでついついそう言い聞かせている。
夕方、台所で夕食の準備をしていると、風呂上りの1号がやってきて冷蔵庫から水のボトルを出してコップに注ぎ、飲み干した。
1号が冷蔵庫にボトルをしまうのとちょうど入れ違いに、次は2号がやってきて、自分のコップを取り出す。
「……。」
私に、冷蔵庫から冷たいお水を出して、と言いかけたらしいが、言葉をつぐむ。
私が台所仕事をしていて以前にも断られたのを思い出したのか、水道のお水で我慢すれば、と言われたのを思い出したのか。
ちょっと考え込んでから、冷蔵庫のドアに手をかける。
こちらの様子を伺っている。
私がわざと見えないふりをしていたら、自分で冷蔵庫を開けて、水のボトルを取り出して。
2リットル入るボトルを片手に持って片方の手で冷蔵庫のドアを閉めようとしたら、水が少しこぼれた。残念。
私が出した雑巾で床を拭いて、コップに水をついで飲む。
今度はこぼれないように念入りに胸にボトルを抱えて、片方の手で冷蔵庫を開ける。両手でボトルを冷蔵庫のドアポケットに入れて…背伸びしてやっと届く高さ。
冷蔵庫のドアの半開きは、母が一番怒るのがわかっているので、ちょっと身体を引いてから、車のドアを閉めるときを思い出してばんっ!と力をこめて閉める。
…おぃおぃおぃ。考えてることはよくわかるが。
すぐ下の野菜室の引き出しまでバウンドするほど乱暴に閉めないでよ。
しかもまた水こぼれてるし。
注意されてへこむ2号。
しかしホントにへこんだのは、実はあとでもう一度冷蔵庫を開けたときに、さっきの衝撃でドアポケットの卵が落ちてひとつ割れているのを発見した私なんだな。
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