漆原友紀
出版社 講談社
発売日 2004.09
価格 ¥ 590(¥ 562)
ISBN 4063143570
「蟲師」を描くことのきっかけになったという「虫師」が収録されている初期作品集だというので、衝動買い。
昔の匂い漂う「どこかの時代のどこかの話」ではなく、戦後間もなくのような学生服に似た服を着た虫師の主人公。ちょっと厭世観にまみれているところが、またすれてて可愛いかも。
兄貴分の柊十郎。このヒトも一筋縄では行かない感じが好き。
2話しかないけれども、もっと別の形で話が続いていきそう。あ。だから「蟲師」があるのか。
でも別の世界観だからこのキャラクターが生きるような感じで書いてほしいなぁ。好きだよ。このはなし。
他にも、漆原友紀独特の不思議な透明感に満ちた短編がたくさん。
「岬でバスを降りたひと」が一番好き。
田舎のバス停。私は昔殆どバスを使わなかったけれども、近所でバスに乗ると、こんなひなびたバス停(海は近くになかったけどね)に行き着くような路線沿いに住んでいた。
バス停の近くに小さなタバコ屋。
そこでバス停を降りるひとを数える子ども。
…1日の行きと帰りで、降りるひと/乗るひとの数が合わない。
そういう人たちは…岬で…。
人生のハザマを見ているような、でもけしてそこに入り込まないように。ひとの人生まで抱え込まないように淡々と日常を暮らすおばあさん。私もこういう人になりたいねぇ。
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