出版社 読売新聞社
発売日 1999.02
価格 ¥ 1,365(¥ 1,300)
ISBN 4643990023
背表紙を見ていた段階では、表題作のみかあるいは著者の短編集かと思いました。
せめて表紙に副題つけておいてくれよぉ。
第19回「ヒューマン・ドキュメンタリー」入賞作品集、ですね。
だから全部で5作品入っていますが、すべて違う人の筆によるものです。
でも面白かったですね。
「小さな小さなあなたを産んで」
タイトルのとおり、超未熟児を生んでしまったお母さんの体験記です。中毒症を警告されながらもぎりぎりまで仕事にのめりこみ、気がついたときには妊娠8ヶ月での緊急帝王切開。
678グラムの小さい赤ちゃんが晴れて退院できるまで。
生まれるまで子供が五体満足で健康で…と信じて疑わない人も多いけど。
でもそれでも小さく生まれてきちゃった赤ちゃんを目の当たりにするつらさ。出産する人には誰にでも隣り合っている恐怖なのに。
それでも生き延びようとする命はえらい。
「家族の回転扉」
脳梗塞で突然、寝たきりになってしまった父の介護をめぐって家族奮闘しているいい話だなぁと読んだ。
最後を読むまではね。
人生一期一会ですね。でもいい話でした。
「翼を広げて」
図書館の司書って、ある意味憧れの職業ですよね。やっぱり。
しかも中学校の多感な時期の生徒たちが慕ってくれる。勝ち得たもの。って感じです。
「輝ける日」
なんていうのか、あまりにも現実離れした苦労話にストーリーにのめりこめなかったな。子供を施設から引き取ったのが昭和20年代というから、世代的に私の親の世代。
小説としてならよかったんですがやはりノンフィクションでは。いい話過ぎ、ですね。
「青海 音ものがたり」
地元に音楽堂ができる。そのオープニングフェスティバルに有名な音楽家を呼ぶのではなく、地元の人たちがみんなで造った音楽祭にしたい…
確かに、片田舎に巨大な文化施設を作っても、最初の数年だけでその施設を逆にもてあますことが多いかも。
結局プロデュースする人も一緒に育てないとだめなんだね。
としみじみと読みました。
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