内田春菊〔著〕
出版社
角川書店発売日
2003.11価格
¥ 500(¥ 476)ISBN
4043444257
怖いもの見たさというのでしょうか。文庫版「私たちは繁殖している・ブルー」で紹介されていたので読みました。
「裏・私たちは繁殖している」とでも言えばいいでしょうかね。
「私たちは繁殖している」の3巻と4巻の間に位置すべき 前夫との離婚と 現在の夫との結婚を描いた小説。
奥付の前に「この作品はフィクションです」と断り書きはあるが。
文庫版「私たちは繁殖している・ブルー」にその存在が描かれているので、むしろエッセイ的・私小説的な存在と言っていいだろう。
主人公の長男アインと長女ツバイ。そして次女ドライ。
本書はドライを妊娠するところから始まる。
アインは当時結婚していた「太田」と同棲していた当時、他の男性との間にできた子で、太田も納得して「一緒に」育てている。ツバイはその後、妊娠した子でこれを機会に彼女は太田と入籍する。太田自身の希望もあり、本当は別の男性の子であったがアインも太田が認知する。
ハタから見ると「できた いいダンナさん」
しかし彼女の実際の気持ちはそうではなかった。
ドライの父親になる彼と知り合って、強く思う。
そして家出をする。
離婚調停と、それにまつわり遺伝子検査をして太田が父親かどうかを調べる。ツバイも、太田の子ではなかった。
という流れのストーリー。そして離婚と二人の子供の親権を勝ち取り、ドライの父親と結婚するまで。
「私たちは繁殖している」を読んだ読者で、この話は拒否感を覚える人も多いと思う。実際「いい気なもんだな」と思わないでもない。
思うに「オトコ運が悪い」「オンナ運が悪い」ヒトっているよね。
なぜかいつも暴力を振るう男性と一緒になっていたり、オンナ癖が悪かったり、ギャンブル好きだったり。
本書の主人公もそうかもしれない。自ら「そういうオトコ」と結果的にいつも腐れ縁ができてしまうような性格。
彼女にとっては泥沼も現実で人生のうちだ。「いい気だ」と思われつつ「かわいそうな人生」と言われないだけの実力と業界での名声を勝ち得ている彼女はある意味幸せかもしれない。
それでも「ここまで書かれる太田というオトコもかわいそう」だなと思うことは否めない。
まついなつきも、同じように離婚の裏話を赤裸々に書いているけど、まついなつきのほうがまだ、読後感はよかったな。
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