ハンス・ペーター・リヒター作
上田 真而子訳
税込価格 : ¥714 (本体 : ¥680)
出版 : 岩波書店
サイズ : 新書 / 245p
ISBN : 4-00-114571-5
発行年月 : 2005.7
「あのころはフリードリヒがいた 」「ぼくたちもそこにいた 」に続く3巻目。
ユダヤ人として迫害され、死んだフリードリヒ。
友人フリードリヒを失ったあとも、一人のドイツ人として生きてそしてナチの一員として育っていく主人公。
3巻目では、すでに彼の中にはフリードリヒはいるのだろうか。それとも失われた過去だろうか。
軍に志願し、日常の延長として軍事訓練をし、やがて片腕をなくし…。
自分もまたその中にいるのだという自己認識がなければこれは書けない。
第1巻目にフリードリヒがありながら、2巻目3巻目ではその記憶は全くかかれない。
しかし罪悪感の表現も何もなく、軍の中にある些細ないくつもの理不尽な行為、強奪や強姦も含めて、彼もまたその中にいた。その記述だけが続いていく。
淡々と綴られる「日常」
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