夕食のあと、歯磨きに行かせてその間に食器を洗う。
洗面室で誰かの足を踏み鳴らす音。ええい、うるさぁぁぃ!
「今、足を踏み鳴らしていたのは、だぁれ?」
と訊く。ここのところ毎日だ。
黙っている二人。
2号が言う。
「おにーちゃん!」
1号が黙っているのであえて1号に答えを促す。
「…2号がやった」
本当の答えはわかっているけれども、2号の目をまっすぐに見て言う。
「そうなの。じゃああなた方はどっちかは判らないけれども、母さんを騙すのね。
じゃあいいわよ」
と言って、寝室の押入れから布団を出し、床に積む。
「あとは勝手にしなさいね」
そのままリビングに行く。
途端に泣き出す1号。
5分もしないうちに1号がドアを開けて顔だけ覗かせる。
「…おかーさん。ごめんなさい。僕がやった」
─ ふぅん。じゃあこっちに来て座りなさい。
1号、やってきて正座をする。じっと、目を見る。
─ 本当は、誰がやったの?
「…2号」
─ そうだろうね。母さんの怒りを鎮めたくて、とにかく自分のせいにしようと思ったのは、ある意味えらいけれどもね。この場合にはあんたの方法は正しいとはいえないよ。
1号にとりあえず話をしてから歯磨きに改めて行かせる。
さて、次は2号だ。
しばらく待っていると、リビングの扉をカリカリと2号がやってくる。
こっちに入っていらっしゃい。
本当は、誰が足を踏み鳴らしていたの?
「なんか、ここにいないヒト」
─ ここにいない人って誰じゃい。
「…わかんない」
─ ふぅん。じゃぁ、2号は幽霊さんが足を踏み鳴らしていたっていうの?
「…そう」
─ あ。そう。ふぅぅぅぅん。そういうこというわけね。
一旦席をはずして1号の仕上げ磨きをして布団を敷く。風呂の準備もして1号は入れる。もう8時過ぎたし2号は風邪気味だから今日はいいや。
というわけで2号のところに戻る。
で、母さんに何か言うことある?
「…ごめんなさい」
─ ごめんなさいってどうして?
「足、踏み鳴らしたから…」
─ 何で本当のこといわないの?そっちの方がずっと悪いんだよ。
ホントにねぇ。自分を犠牲にしてもとにかく場を鎮めようとする1号。
自分に都合の悪いことは幽霊のせいにしてでも自己正当化を謀る2号。
性格が出るんだよねぇ。
叱っていて本当はこみ上げる笑いをこらえる方が大変なんだけどねぇ。
この記事に対するコメント[4件]
1. ユキムラ — January 18, 2006 @17:29:06
なんとなく私もきもちがわかります。私も三人兄弟の長男なので。
なんで自分を犠牲にしてまで場を丸くおさめようとしちゃうんだろう・・・。これって、気質や育ちの問題もあるでしょうが、ある意味「兄としての責任感」のようなものもあるでしょうね。
ちなみに2号君がなぜウソをついたかは・・・今度私も弟に聞いてみます。(爆)
Yumikoit January 28, 2006 @22:39:58
それで弟さんの答えはいかがでしたでしょうか。興味津々です
3. ぷぃまま — January 21, 2006 @11:39:54
やはりおにいさんなんですね。
うちは最近謝ることを嫌がるようになりふてくされたりしています。
Yumikoit January 28, 2006 @22:40:55
うちはそういえばなかなか謝らなかった、ということで苦労したことはなかったような気がします。
でも「ごめんなさい」の大安売りはありましたね。2号。
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