鷺沢萠〔著〕
出版社 講談社
発売日 1999.01
価格 ¥ 470(¥ 448)
ISBN 4062639777
「今日も未明に電話は鳴った」
就職して間もない青年と、さしてトシの変わらないパープーな愛人ねえちゃん。
まじめにサラリーマンする青年は、自分の父親の愛人ねえちゃんのわがままに振り回されっぱなし。
その彼女に重なる、自分の初恋。
愛人ねえちゃんと父親の別離に際して、内心複雑ながら愛人ねえちゃんの引越しを黙々と手伝う。
最後の対面の直後、弾みで出会う、初恋の相手。
ダブルの失恋ってところかな。
なんか初々しくてすがすがしい。
「あなたがいちばん好きなもの」
こちらは打って変わって、かの愛人作ってたオヤジの奥さん。
愛人つくりまくってる困った旦那には、既に怒り狂ったり取り乱したり離婚を迫る気持ちもなく。
のめりこんで育てた子どももいつの間にか手を離れて。
結局なんだったのかな。
私の友だちで自分の恋心を表現するのにこういったヤツがいた。
「彼を好きというよりは、彼と一緒に居るときの私が好き」
結局のところ、恋愛もひとつの自己恋愛のひとつというところかな。
「夢を見ずにおやすみ」
第1話の息子くんの、初恋の相手が主人公。
子どもを持たないまま、夫婦二人で仕事しまくって。
気楽な夫婦2人の生活だったはずなのに、いつの間にか二人の気持ちがすれ違っている気がする。
それでも夫婦は夫婦。空気のような存在がいちばん重いってことかな。
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