五味太郎著
出版社 大和書房
発売日 2003.08
価格 ¥ 1,260(¥ 1,200)
ISBN 4479670572
「ほんとはxxなグリム童話」とかなんとか、流行ってた頃があるけど。
こちらは4編のむかしばなしを現代風に、五味太郎風に読み解く。
「シンデレラ」
一方的にどんな意地悪を、シンデレラがされていたのかを色々想像する。
多分したと思います。したに決まってます。と言い切る辺りが五味太郎のいい味が出てる。
でも、舞踏会だのなんだのという前に、それらの「ふしあわせの積み重ね」に対して魔法使いが何とかする意思があれば…と一刀両断。
そりゃ〜そうだよね。継母や継姉たちが優しくなったり、いなくなったりする魔法があれば、シンデレラは一気に幸せになったはず。
いや、それじゃ「もとの、そこそこ幸せな生活」に戻るだけ。
でもその時点では魔法使いにはそんな気もなければ思いもありません。福祉なんてそんなものです。福祉のありがたさを仰々しく見せつけえる場面が来ないとやらないものです。
というくだりには微苦笑。うんうん。そういうもんだよ、行政ってさ。とか。
重ねて シンデレラ、ひいては「幸せを夢見る女性像」の人格分析を披露。小気味よく、それでいて五味太郎の持ち味を崩さずにシンデレラの夢見がちで一向に幸せに向かって努力しない性格を評する。
「幸せに暮らしました」そんなわきゃ〜ない。
うんうん。そうかもねぇ。
…とこんな感じで、「うさぎとかめ」「アリとキリギリス」「赤ずきん」と展開する。
個人的には「うさぎとかめ」に模された現代風の流行を追いかけまくるウサギ女と、地味にこつこつ日常をまじめに生きて結果的にいつの間にか?ちゃっかり結婚しているカメ女がすごく面白かった。
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