ジャネット・ウィンターソン著・岸本佐知子訳
出版社 国書刊行会
発売日 2002.06
価格 ¥ 2,520(¥ 2,400)
ISBN 4336039623
「わたしには家がない 」の解説で紹介されていたので読むことにした。
頑迷で古い迷信に凝り固まった宗教…彼女の場合にはキリスト教原理主義…の下で育った結果、彼女は学校とか地元社会とか、そういった一般的な意味での社会生活に馴染むことができなかった。そしてそれを当たり前と思って育った。
幼い時の自分自身を通して過去を振り返っている著者は、それらの整理できない自分自身の感情を、昔ばなし風のエピソードや聖杯探検の伝説やそういうものでモチーフ的に表している。
子どもの時は誰しも、親の一方的な思い込みや考え方の押し付けの中で生きている気がする。それが理由付けのあるものであれ、もっともな理由のあるものであれ、「親の生きてきた環境」「親が信じて育ってきた環境」を一方的に押し付けられているのは子どもだ。
ある時、子どもはそれ以外の世界もあり、親の言う理屈だけで世の中が動いているわけではないことを知る。
子どもにとって外の世界が魅惑的であればあるほど、そして親の作った世界が強固であれば強固であるほど、その殻を打ち破るものかもしれない。
緩やかに。でも信念を持って。それでいて他者には狭義的ではなく。新しい概念はその場で退けるでもなく、かといってなんでも一方的に受け入れるでもなく淡々と。
そういうのが、あこがれる世界である。
この記事に対するコメント[1件]
1. くろにゃんこ — June 16, 2005 @09:53:36
私も「オレンジだけが果物じゃない」読みました。
このお母さんって、すごっくユニークですよね。
普通じゃ考えられない。
それでもジャネットは、反発しながらも母親を愛しているんですよね。
子供って、どんな母親でも、やっぱりどこかで愛しているものなんですね。
「さくらんぼの性は」も読みましたが、そちらは母親への愛情にあふれた作品ですし、ファンタジーなお話で、面白かったですよ。
この記事に対するコメントは締め切られています