花井愛子著
出版社 小学館
発売日 2001.01
価格 ¥ 560(¥ 533)
ISBN 4094051112
「女王さまの自己破産確定 」を読んでいたら、結局相続問題で著者は、異母兄弟にいくら払うことになってしまったのか、よく判らなかったので(私が読み落としただけかもしれないけれども)、本書を読む気になった。
自己破産に関する一種マニュアル本的な作り方だった先の本に比べて、こちらの本は自己破産した当時の体験を振り返るエッセイ集みたいな感じ。最初の半分は絶頂期にあった稼ぎまくっていたころのはなし。
なぜ、遺産相続で狙われるほどの財産が、実父名義であったのか。
なぜ自分名義ではなく親名義であったのか。母親名義だったそれらの財産が父名義になってしまったいきさつ。家やマンションを次々買ったいきさつ。
お母さんの死を描く部分は本文からは離れるせいかさらっと、しかし情感豊かに描いている。
それでも、稼ぎまくって「私はお金があるのよ〜」を書いている文章というのは概して読みにくいもの。
次の1/4は、お父さんが末期がんで亡くなった経過と、叔父一家の暗躍の始まり。
多くが憶測で、それは著者も認めているけれども。異母兄弟や叔父一家へのさまざまな憶測をすべて
「…ではなかったか」
文長で書いているのは、一つ一つ読めば、彼女が実際に遭遇した事柄の羅列ではあったはずだが。
それでも読みにくかったなぁ。
本人も思い返して書いているので、文章がどうしても悪意に満ちてしまうのかもしれない。
エッセイというかたちではなく、私小説というカタチでもっと突き放して物語のように書いたものなら、このあたりの詳細な経緯を読んでみたいところ。
結局、1/3という法律上の取り決めではなく。
だって実父名義と言っても実際にお父さんが稼いだ資産ではなく、著者が稼いだ資産だということはさまざまな書類が示している事実だから。
それでも一人頭1000万という示談金?そしてバブル破壊でどうしても処分できなかったマンションのローン。
そして自己破産。
ヒトの人生は面白い。それが波乱万丈であればあるほどね。
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