ワイルド〔著〕・福田恒存訳
出版社 新潮社
発売日 2004.07
価格 ¥ 620(¥ 590)
ISBN 4102081011
自分の美を称える肖像画。画家がその全てをかけて描いた肖像画でもある。その肖像画に対してふと
「もし『ドリアン』がいつまでも今のままでいて
代わりに肖像画が萎びてゆくのだったら
どんなにすばらしいだろう」
とつぶやく。
ある日ふと、自分の退廃的な方向への変化が、自分自身ではなく絵に表れていることに気づくドリアン。
身分の違う下層階級の女性への恋とその破綻。女性の自殺。
阿片窟。
ありとあらゆるデカダンの享楽。
そして画家を殺害。
ドリアンはさまざまな悪徳に染まっていくが、彼自身の風貌は変わらない。
全て、絵が肩代わりしているからだ。
そして絵に刃を向けたとき…。
耽美主義的な文章は、古風だけれども読みやすい。
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