西村繁男〔著〕
出版社 幻冬舎
発売日 1997.11
価格 ¥ 630(¥ 600)
ISBN 4877285253
少年ジャンプの元編集長西村繁男のジャンプとのかかわりを記す手記。
掲載していた漫画家との編集者としての付き合いやらばかりだけではなく、むしろ雑誌発行の経緯や社内のこと。社員組合。雑誌編集の上での苦労話などから当初期待していたのとは違う面白さだった。
漫画は好きだが、実は昔から私はほとんど「少年ジャンプ」のコミックスを読まない。だから、出てくる漫画家の名前や作品名などは「ああ。そういえばそういうのがあったな」止まりである。
それはとりもなおさず
「ジャンプに出てくる漫画は、長期連載になるものほど展開が似たり寄ったりで新鮮味に欠ける」
と思っていたからである。
本書を読むと以前から聞きかじりに聞いていた社内編集の方針によって、そのようになっていたことがわかる。
曰く
掲載の上でのテーマは、「友情・努力・勝利」である。
読者アンケートによって人気のある連載作品をチェックしている。
連載開始当初は10回連載予定で開始して、上記アンケートなどで人気があったらエンドレスで連載する。
人気がなくなったら残り5回程度で連載を停止する。
などなど。
私は恐らくこの人気しだいで連載がいつ終わるかわからない、ゆえにいつでも終われるようなストーリー展開に偏りがちな作品の偏向が無意識に気に入らなくてあまり読まなかったことが判る。
商業的に効率がいいこともよくわかるけど。
その商業的成功の裏で展開していた社内的事情、特に臨時雇い労働者による動労組合の設立やそれの初代代表者になった遠崎氏がのちの漫画原作者 愛英史(別P.N ジョー指月 氏)であると言うことも「へぇ」と思った。スーパージャンプは読んでいるので、愛英史氏原作の作品もジョー指月氏のものも読んでいる。
やっぱり作品を読んでいる作家が出てくると面白い。
そして現在の少年漫画を含む漫画文化の衰退へと。
まさに宴の後、という感じだなぁ。
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