サラ・E・オルソン著・東真理子訳
出版社 翔泳社
発売日 1998.11
価格 ¥ 2,100(¥ 2,000)
ISBN 4881356607
多重人格を扱ったノンフィクション。
著者は幼い頃、母親の友人の夫である男性から繰り返し性的関係を強要されて、二人いるうちの下の姉と共に繰り返し虐待を受けてきた。
本来守ってくれるはずの母親はむしろ友人の夫に積極的に娘を提供していたフシがあり、また彼は幼女を集めて性的関係を持つだけでなく、児童ポルノを製作して利益を得ていたらしい。
スナッフフィルムと言われるそのポルノビデオでは、カルト的な儀式を持って殺人を模した映像を撮ったりもしていたと思われる。
繰り返しそういう悲惨な目にあってきたため、彼女は30を越えるたくさんの人格に分裂してしまった。
本書はたくさんある多重人格の体験をつづる小説に比べて目新しいものがあるとはいえない。しかし多重人格(現在は 解離性同一性障害と呼ばれる)の複雑で巧妙な彼らの「生き延びるための知恵や方法」を知るには興味深い一冊だ。
特に私が今まで読んできた解離性同一性障害のノンフィクションに比べてセラピストのハワードが常にクールでのめりこみ過ぎないような姿勢でいることにプロフェッショナルな姿勢を見たと思う。
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