森博嗣著
出版社 講談社
発売日 1997.07
価格 ¥ 798(¥ 760)
ISBN 4061819704
森博嗣の短編集。
一番好きだったのは、[キシマ先生の静かな生活]。
学生時代の恩師を思い出す。イメージは違うけれどもね。
やっぱり部屋の中に所狭しと本を積み上げ、ひなが一日微分方程式と取っ組んでいるような、どっか俗離れした方だった。
森博嗣氏の研究に対するひとつの姿勢を垣間見るようである。
ただ、文系を自認する方々には理解できない話であるかもしれない。
垣間見るといえば[やさしい恋人へぼくから]。
一人の同人仲間との出会いを描く。異性を感じさせないところがいい、という。
今でも、私の大好きなダンナ様。
で終わらせるところがいいかな。
スバル氏、と相手の名前をつけているから、夫人へのひとつのラブレターなのだろうか。なんかほほえましい気がする。
[虚空の黙祷者]
夫が失踪。しかも同じ夜に夫の親友の父親が殺される。現場には夫の指紋のついた刃物が。
夫の親友は5年後、夫人にプロポーズする…
ストーリーとしてはS&Mのような完全理系の同氏の作品ばかり読んできた身としては、なんとなくありがち。
[純白の女]
サイコミステリィというのかな。こういう分類はよくわからない。綺麗なものだけを見ていたい。そんな感じのお話。
ちょっと詩的。
[彼女の迷宮]
夫が書く小説の主人公は私と同じ名前。私とは全然違っていて、私の理想…
その作品の中の自分に嫉妬する。
作品の中の私をめちゃめちゃにしてやる…
留守の間に摩り替えられ、雑誌に掲載されてしまった小説を見て夫は…
[真夜中の悲鳴]
スピカ、というボーイッシュな女性は同氏の夫人がモデルなのかなぁとおもって読みました。なんとなく。
大学の研究室を舞台にしたミステリィというつくりです。
[ミステリィ対戦の前夜]
S&Mシリーズの番外というところか。犀川先生は出てこない。ミステリィ研で泊まりこみで作品批評会をしている。萌絵がどの作品も一途両断に…そしてミステリィ研の部長は。
萌絵の性格描写がちょっと甘い気がする。いや、それがポイントなんだろうけどもう少しはっきり書き分けてもいいと思うんだけどな。
いずれにしてもネタとしてはB級。
[誰もいなくなった]
これもS&M。ミステリィ研の このなぞは解けるか?といったイベント。萌絵がミステリィ研の仲間と一緒に自信たっぷりに動き回るが…最後に犀川に鮮やかに解かれてしまうシーンが好き。
[何のためにきたのか]
ミステリィではありませんね。でもなんか好きな作品です。
現実の表と裏、といったところかな。
[悩める刑事]
立場の逆転、か。最初、厚かましく噂好きで、下手の横好きでとにかく事件に首を突っ込みたがっていた妻のイメージが、最後の数行で裏返ってしまう感じがよかったかも。
夫哀れ?
[心の法則]
石に色を塗る、というと今は「おかあさんといっしょ」の「へんし〜ん」のコーナーを思い浮かべます。
いやいや、これは壁にその塗った石を並べて作品を作るんでしたね。
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