ドナ・ウィリアムズ〔著〕・河野万里子訳
出版社 新潮社
発売日 2002.03
価格 ¥ 2,310(¥ 2,200)
ISBN 4105268031
「自閉症だった私へ」のドナ・ウイリアムズの手記。第3弾。
周りを見る。周囲が空間と認知でき、ここは私の部屋。ここは、知らないお店。こちらは…と認知できるときの、身体メカニズムの複雑さ。
身体とはとても複雑なメカニズムを有しており、「ただ目が見える」「ただ、耳が聞こえる」というのだけでは世界を認知することは出来ないと知る。そうして、それが実にもろいものであるという事も。
また、他でもない「自分が欲している」とはなんだろう。
今自分が選んだものが、「CMなどで刷り込まれて朝ごはんに食べるべきものと思っている」ものではなく、他でもない「自分が」食べたいものだと何故判るのだろう。
たとえ、認知世界に問題がない、あるいは問題がないと思ってずっと生きてきた私たちにさえ、本当にわかっているとは言いがたい。
本書内にあるイアンとのつながりは、彼女にとって本質的なもので本当に彼女自身が欲しているのだ、とわかる。必要としているのだ。ということも。読んでいてとてもすがすがしく、微笑ましい。
エピローグを読むと、このつながりは長くは続かなかったようであるが、彼女のこの結婚は不幸ではない。なんて素晴らしい結婚だったのだろう。
2作目、3作目となるに従って、また自閉症の別の側面というか、明らかになってきたように感じる部分もあります。
3作目の中で、ドナとイアンが、新しいメガネを作成するシーンがあるのですがあるカラーパターンによるレンズを作成した時、「初めて空間を空間と認識し、向こうから世界が飛び込んできたように思う」シーンがあります。これが、「世界」だったのだと。
私も、彼女はとても頭のよい人であると思います。
しかし頭がよいだけでは、今の彼女はありえない。彼女の心に深く流れる強い願い、幸せになりたい。(自分にとっての)真実を知りたいという強い欲求が、彼女を困難に向かわせ、向上させようとしている気がします。
あ〜、なんか、うまく言えなぃぃ。
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