よるのびょういん

谷川 俊太郎 / 〔谷川 俊太郎著〕 / 谷川 俊太郎著 / 長野 重一
福音館書店 (1985.2)
ISBN : 4834001342
価格 : ¥662
モノクロの写真で綴られるひとつのエピソード。
真っ暗闇の中を走る救急車の表紙の写真は、ぶれている。
1号が
「この写真、変だよ」
という。いや、すごく早く走っているんだよ、この救急車。

主人公のゆたかくん。昼間から腹痛を訴えていたが、夜になって高熱が出た。
お母さんは119を回す。
憧れの救急車に乗れるというので、痛みと熱にうなされながらもちょっと嬉しいゆたかくん。
病院での診察。そして緊急手術。
おろおろしているお母さんとお父さん。
深夜の病院。先生と看護婦さん。ICU。地下のボイラー室。夜中も働き続ける人々。

1号もね。救急車こそ乗ったことないけれども夜間救急は何度も行ったね。
4年前の5月と6月。ほとんど毎週大学病院に行っていたよ。
そして4年前の今日、4回目の入院が終わって自宅に帰ってきたよ。
あれが1号の最後の入院だったね。

明日は5歳の誕生日。元気に大きくなってくれてありがとう。

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きりのない話

朝ごはんのパンのお代わりの所望。

「ボク、パンを2回切ったのに、チーズ載せて」
うむ?パンを二回…
「あぁ。4分の1枚ね」
「よんぶんのいちってな〜に?」
「パンを4枚に分けたうちの1枚だけ、欲しいんだよね」

新しい概念だったのか、それから調子づく1号。
「じゃわじゃわ、3分の1は?」
「じゃわぁ、5分の1は?」
「じゃわ、3分の2は?」
と延々続く。
10回も付き合って、あとはご飯が進まないのがわかりきっているので「ええい!やまかしい!」と話をぶった切る。

おかげで幼稚園に出かけるのが遅くなったじゃないか。

幼稚園に行く途中の道で、自分の帽子を手に取りながら
「これは、青色っていうの?」
「こりゃ紺だな」
「こん?こんってな〜に?」
─ そういや今まで全部この子は「あお」だったかも。
「薄い青は、水色っていうでしょ。濃い青は、紺っていうんだよ」
「じゃわ、赤の薄いのは?」
「─ ぴんく」
「赤の、濃いのは?」
「深紅、かなぁ」
「じゃわじゃわ!白の薄いのは?」
「白に薄いも濃いもないだろう。
  (いや、厳密にいうといろいろな白があるけど)
 灰色の濃い、薄い、白、黒…」
「銀色の薄いのは〜?」
「銀色の薄いの!」<段々いい加減になってくる。
「じゃわ、この色は?」
「ナス紺」
「じゃわ〜、この色は?」
「えーと。シルバーグレー?」

ええいっ、ほんとにあんたの話はキリがないっ!

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