藤本ひとみ著
出版社 中央公論新社
発売日 2002.05
価格 ¥ 1,995(¥ 1,900)
ISBN 4120032671
悪女…なのかなぁ。マリーアントワネットの娘、マリー・テレーズと、マルゴ王妃。
マルゴ王妃は私が今まで読んできた時代の人じゃないのでわからないけど。
読んでいると、飼猫氏が
「そういえば、フランス革命のあとマリー・テレーズってどうなったんだっけ?」
と言う。そう、そのくらいの認識。
同著者の「マダムの幻影」とかがマリー・テレーズのその後の人生をベースに書いてある小説になるけど、「ベルサイユのばら」のような華奢ではかなげなお姫様の印象はすでにない。
あるのは、革命前の貴族の華やかな暮らしを断たれたことに対する民衆へのうらみを持つ一人の女性。
もう一度王政を取り戻すために、叔父プロヴァンス伯(のちのルイ19世)の薦めに従い、アルトワ伯(のちのシャルル10世)の息子アングレーム公に嫁ぐが、その性格が災いしたのか、実際に王妃としていられたのは、シャルル10世が孫のルイ20世に王位を渡す過程として便宜的にアングレーム公に数分間王位を渡した一瞬だけ。
すぐに退位宣言を書く。
幸せな結婚生活でもなかったようだし、そういう意味でもかわいそうな女性だなぁ。
とか考えちゃう。
まぁその分確かに民衆にうらまれるようなこと、時代に逆行するようなことはたくさんしているようだなぁ。
マルゴ王妃の方は、ヴァロア家とブルボン家の両方にちょうどまたがる人物と言ったところか。
色情狂、なんて書き方で描いてあるけど、著者の解釈によるせいか、こちらの方が悪女という印象は少なかったかも。
エッセイに近い本で、面白く読めました。
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