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- NEC V30 (uPD70116) (16bit CPU)
- Address bus 20bit, Data bus 16 bit.
- DIP40P、Clock 5MHz、8MHz、10MHz.
- C-MOS 2um トランジスタ数 63,000.
- 1984年発表.
NECが i8086 の改良品として販売したCPUです。
V30は i8086 に対して次の点が改良/強化されています。
- 一部の命令拡張 ( i80186互換+NEC独自拡張)。
- 内部構成の大幅な変更による処理クロック数の削減。
- 8080エミュレーション機能を内蔵。
V30 は i8086 とピン、オブジェクトコードにほぼ完全な互換性がありました。
そのため、PC9801のCPUを V30 に置き換えて処理速度の向上を図った方も多くいたようです。
正確には i8086 と V30 ではクロックのデューティ比が異なり、完全な置き換えは不可能でした。
それでもPC9801に i8087 の組み合わせで問題無く動いていたようですが。
V30 は内部構成の改良により同一クロックの i8086 より約20%ソフトウェアを早く実行できました。
これは、どんなアドレシングモードでも実行アドレスを2クロックで生成できる点が大きかったようです。
V30 の特徴として、8080のエミュレーション機能があげられます。
CPU内に V30 と 8080 の2つの動作モードを持ち、ソフトウェアで切り替えられるものでした。
この機能を使用して CP/Mを PC9801やIBM-PCで使用できました。
V30 はCPU、周辺デバイスについてファミリー化が図られました。
それらを総称してNECはVシリーズと呼んでいました。
以下にVシリーズCPUを示します。
- V20 V30の8ビットデータバス版。
- V25 Vシリーズのワンチップコンピュータ版。
- V33 V30の改善版。
- V40 V20+周辺デバイス(i80188相当)。
- V50 V30+周辺デバイス(i80186相当)。
他にもV53、V55、V60、V70、V80等がありました。
VシリーズプロセッサはINTEL社の同等品に対し、性能、消費電力の点で勝っていました。
ところがこれからという時期に、INTEL社から訴訟を起こされてしまい、結果として広く広まりませんでした。
V20 / V30 はSONY、SHARP、Zilogがセカンドソースを製造/販売していました。
写真の V30 (uPD70116)は8MHz品で伊藤様から寄贈頂いたものです。
V20とV30にはセカンドソースがありました。
右の写真はSONY製のV30です。
出だしが好調なVシリーズでしたが、上にも述べたとおり訴訟合戦でミソをつけてしまい、
だんだんと32bitCPUの時代に入るにつれ使われなくなりました。
訴訟合戦は「NECはマイクロコードをコピーしたがINTEL社が知的所有権保護を怠った」という玉虫色?の
決着になったようです。
NECはその後、マイクロコードを使用しない、V33やV53を発表、販売しました。